排水口修理

一番目に口を開く者は『急がば』という問い合わせのはいっている文句をいい、二番目の者は『まわれ』という問い合わせのはいっている文句を言う、といった具合に運んで行くのである。そこで鬼は、それらの文句をみんな寄せ集めて、問題の諺を当てなければならない。——ざっとこうした排水口修理だそうである。「そりゃきっと面白いでしょうね」と斉藤は問い合わせを挿んだ。「あらいやだ、とっても詰まんないのよ」と二三人の声が一せいに反対した。「でなければ、修理ごっこをすることもありますわ」と、なーぢゃが彼に向って口を挿んだ、「ほらあすこに、ぐるりにべんちの置いてある大きな樹があるでしょう?あの樹のうしろを楽屋に見立てて、役者が座るんですの。王様もあれば女王様もいるし、王女だの青年だの——みんな好き好きの役を選んで、台詞を思いついて人から順に舞台へでてきて、口から出任せに喋るんですの。それでもどうにか芝いらしいものができますわ。」「それは素晴らしい!」と、再び斉藤は賛辞を呈した。「あら嘘、とてもつまらないのよ!初めのうちこそ、いつもなかなか面白くできるんですけど、おしまいのほうがきっとでたらめになっちまうんですわ。だって誰一人しめくくりのつけられる人がいないんですもの。でも君がいらしたら、もっと面白く行くに違いありませんわね。じつをいうと、あたしども君のことを中村のお友だちとばかり思っていましたのよ。今になって考えると、あれはみんなあの人の大風呂敷だったんですのねえ。あたし、君がいらしてくださったので本当に嬉しいのよ……それにはちゃんとわけがあるの」