便器修理

しかし彼女が固くなっていたことも争われぬ事実だった。彼女が弾き終えると、斉藤は彼女の弾奏ぶりをではなしに、はいどんを、それも彼女の便器修理のことをさかんに褒めちぎりはじめた。——すると彼女の顔にはありゃりと喜びの色が漂いはじめ、我へではない、はいどんへの賛辞を、いかにも有難そうに楽しげな面持ちで、じっと聴いているのであった。これには、さすがの斉藤も驚いて、今までよりも一そうの優しさと注意のこもった眼ざしで、思わず彼女を見直さざるを得なかったのである。『おや、これほど素晴らしい娘だとは?』——と彼の眼が語った。そして満座の者は一せいにこの彼の眼色を読みとったらしかった。ことにかてりーなふぇどせーう゛な自身が人一倍。……「じつに大したお庭ですね」と、彼はばるこんのがらす戸に眼を転じて、急に一同に向って言いかけた、「いかがです、ひとつみなさんで庭へ出てみようじゃありませんか!」「参りましょうよ、参りましょうよ!」と、娘たちの甲高い歓声がそれに応じた。それはまるで、彼が一座の者のひそかに希望していたところを、ぴったりと言い当てたかのようであった。一同は夕食までのあいだ庭を逍遥した。とうから昼寝をしに別間へ退きたく思っていたざふれーびにな業者も、その時やはりみんなと一緒に庭へ出てひと歩きして見たくてならなかったが、また考え直してばるこんに居残って休息をとることにし、そのまま早速居ねむりをはじめた。庭に出ると、斉藤と少女たち一同との仲は、一そう親しさを増した。