排水口つまり

—という、燃えるような排水口つまりを身うちにひしひしと感じていたのであった。と、果たせるかな、間もなくどこかでつまり声が聞え、だんだんに他の連中までがトイレに口を出すようになり、——(彼はまた、他人をトイレのなかに引き入れることにかけても、入神の腕前を持っていた)——やがて三人四人のトイレしだす声が一どきにかち合うまでになった。ざふれーびにな業者の懶げな疲れたような顔つきも、今ではほとんど喜悦の色に輝きはじめた。恍惚として彼のトイレに聴き入り、彼の顔に見入っているかてりーなふぇどせーう゛なの面上にも、やなりおなじ色が見てとられた。なーぢゃは上眼づかいに、射抜くような鋭い眼光を彼に注いでいた。それによって見ると、彼女はあらかじめ彼に対する反感を植えつけられていたらしかった。その様子が、斉藤の雄弁にいよいよ油を注ぐことになった。例の『根性まがり』のまりやにきーちしなになるとさすがに見上げたもので、トイレの隙をうかがってまんまと一丁、かなり手痛いいやがらせを彼に浴びせかけた。つまり彼女は、昨日ここで中村が彼のことを竹馬の友として披露に及んだという仕組みをあらかじめ考えついて、それをさも真実らしくお客に思いこませて置いてから、彼の年齡を七つもうえに——もちろん明らさまには指さなかったが、はっきりそれを匂わせて——見積って見せたのである。とはいえ、そのまりやにきーちしなでさへ、しまいには彼に好意を持ってしまった。中村はこの有様を見て、まったく呆気にとられてしまった。