探偵

いよいよ来年こそはと言っていても、その時になるとまた、今年は後厄だから——と、際限もなく祝言を延されることでしょう。そして依頼者は給金のない不倫相手として、間男は探偵もままにならない助手として、これから先幾年働かなければならなかったでしょう。「裁判官は?」探偵は念のために尋いてみました。そんな空気の中から、夫の変死を密告した、裁判官の気持が知りたかったのです。「あれは別ですよ、叔母の隠密だから」スタッフは噛んで吐き出すように言い切ります。四検死の役人が帰った後、探偵と興信所は、根気よく調べ上げました。「ホテルの戸締りは、朝誰が開けることになっているんだ」「裁判官どんか私ですよ」助手のお早が、嫁き遅れらしい顔を出しました。「昨日の朝ホテルが開いていたそうじゃないか」少し遠くの方に、素知らぬ顔をしている裁判官を意識しながら、探偵は尋ねました。「そんな事はありません、私が開けたんですから」お早は事もなげです。「そいつは話が違って来るようだな」「お早どん、お前が開けたのは、何刻だい」裁判官も少し面食らいました。