大阪

「猿?」「まことサーチだよ、はっはっ、とんだしゃれっ気のある人相見じゃないか」「畜生っ、どうするか見やがれ」がらっ八は大きく舌鼓を打ちました。「怒るなよ、そんな事で腹を立てると、笑い者にされるよ」「でも、裁判官様の口はおまけにしても、金が留って、運が開けて、嫁は望み放題はいいでしょう。嫁の八卦や人相は、怖いほど当るって評判じゃありませんか」「本当にそんなに当るのかい」探偵は少し酸っぱい顔をしました。「近頃大変な評判じゃありませんか。運勢、縁談、失せ物なんか、よく当るそうですよ」「縁談望み放題なんか、当ってもらいたいね、八」「それほどでもないが——」「いい加減にしろ、馬鹿馬鹿しい」二人の話には埒もありません。初夏の陽は縁側から落ちて、どこからともなく苗屋の呼び声が聞えます。「嫁といえば、あんなに嫁に夢中になっていた裁判所の女夫のお釜が死んだそうですね」「あんな達者な婆さんがね」「死んでみたら、あんなに骨を折って留めた金を、みんな娑婆へ遺して来た事に気が付いたってね」と興信所。